SPINE.
承前
TRANSFORMATION. | NARA NEARBY COMMONS.
DOCKING. | NARA NEARBY COMMONS.
SPINE
合体DOCKING、変形TRANSFORMATIONときて、ロボットは脊椎SPINEを目指すことになる。だが、SFとロボット工学のいづれの世界においても、背骨を持つ人型ロボットの存在は有機体との区別をあいまいにしてしまう。人工脊椎の導入は、外骨格から内骨格へのフレーム変更をも意味している。さらに、脊椎という内骨格を支える筋繊維の存在も考慮に入れなくてはならない。さて、こうして生み出された目の前のそれは、はたしてメカなのだろうか?
このような疑念すら物語設定に取り入れたのが「エヴァンゲリオン」である。この作品の内容に踏み込まなくとも、エヴァはアニメ史において記念碑的作品だ。なぜなら、エヴァンゲリオンは「セキツイ」のロボットとそのアクションを前面に出したからだ(まあ正確にはロボットじゃないんだけど)。うんこ座りで、お食事してる初号機さん↓。
セキツイの設定だけならば、永野護のFSSのモーターヘッド(改名:ゴティックメード)にも形式的には存在する。だが作中のメカはそれほど関節の動きはなく、プラモなどの模型の腰も可動はしない。セキツイという可能性を秘めた設定とは裏腹に、基本的に永野デザインは彫塑的なプロモーションである。以下は改変前のレッドミラージュ。
背面から見たの内部の脊椎(↓青色のパーツ)
画像お借りしました:それさえもおそらくは平凡な模型 ボークス 1/32 L.E.Dミラージュ 胸像 その33 ~完成 Bサイド~.
また、前回にも触れたが、アニメ版「機動戦士ガンダム」は、設定上あり得ない柔軟なモーションを見せる。
この初代ガンダムの「セキツイ」が存在するかのような柔軟さは、武器にサーベルと盾が存在したことが大きい。剣と盾は、腰の動き無しに使用することが出来ない。だが、それゆに超合金ガンダムで遊んだ時の「コレジャナイ感」を伴った。超合金のガンダムは、盾を手前に構えることができなかったのだ。こういった矛盾めいたモーションが、その後のガンプラ・イノベーションへの誘因となったとも言える。また、エヴァ以降のガンダムは、なめらかな動きを予め設定に組み込んだMSが登場する。例えば、ダブルオーガンダムの腰関節は人のように動く↓。
画像お借りしました:HCM-Pro 60 ダブルオーガンダム – HCM-Pro ももんじゃの散財帖.
さらに、連載中のサンダーボルトの「アトラスガンダム」は、「セキツイ」をより明示的なギミックとして持っている。背面に注目せよ。この物語は初代ガンダムの時代である。詳細はよく知らないが、ジム系やコアブロックシステムとは異なる設計思想のMSなのだろうか。
さて、ガンダムから離れよう。このセキツイ問題は、SFロボットだけの話ではなくて、ドールにも当てはまる。例えばボークスの「スーパードルフィー」は、かなり人間的な動きが可能な人形だ。持ち運ぶときはバイオリンケースに入れるらしい。
Super Dollfie®.net – スーパードルフィーとは.
ちなみに、これに関して、ボークスは特許を取得している。
このように、人間的なポーズを追求すれば、球体関節人形も「セキツイ」をめざすことになる。しかし、このボークスですら、セキツイの末端の「首」を軽視している。硬直的な首は、人形の表現の範囲を狭めしまっているのである。どのようなポーズをとったとしても、ドールの顔は肩から一定の距離を保ったままだ↓。
この場合、「首をかしげる」はできるが、「首をすくめる」ことができない。それは顎(あご)が肩のラインの下にくるポーズがとれないことを意味している。例えば「困った」「アンニュイ」「ほおづえをつく」などの身体表現が困難となる。スーパードルフィーの、かわいいけどどれもステロタイプな感じがするは、この点にあるかもしれない。
セキツイの持つ曲線美に関しては、以前の金剛力士像で見た通りだ。この写真の平面をXY平面とするならば、セキツイが持つ曲線はZ軸(奥行き)においても影響を及ぼす。
画像お借りしました: 長谷さんぽ(鎌倉大仏) | ビークルーエッセブログ.
この猫背感は、鎌倉の大仏が参拝社の方を見ているからである。東大の復元イメージより↓。
これとは対照的に、奈良の大仏は姿勢は良く、視線は遠くを見つめている。
遠く=悟りを見つめる大仏を拝むのと、こちらを見つめてくれる大仏を拝むのとでは、その意味合いがちょっと意味が違うかな、と思った。
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