金剛力士界の異端児@東大寺南大門
[mappress mapid=”245″]
こんにちは、okeihanです。
久しぶりの更新になってしまいました。
遅ればせながら
あけましておめでとうございます。
みなさん、初詣には行かれましたか?
私は年末年始ずっと体調が思わしくなく
お正月には行くことができませんでした。
どこかの神社で狛犬の位置を
確認しようと思っていたのに、ううう
以前、ならねこでこのような記事を
書かせていただきました。
⇒記事『狛犬と陰陽道との意外な関係』
上の記事に詳しく書いていますが
ざっくりまとめますと
陰陽道は自然界のいろいろなものを
『陽』と『陰』に分類したがる。
『陽』=左・阿 『陰』=右・吽
↓
神社が陰陽道の法則を取り入れ、
狛犬の阿吽は、本殿から見て
阿形は左側、吽形は右側という法則がある!
といった内容です。
「本殿から見て」というのは
こちら側からということです。
阿← →吽
なので入口の鳥居から見ると
こういう並び方です。
吽← →阿
ちょっとややこしいですね・・・
初詣の時期は過ぎてしまいましたが
今日、大阪天満宮へお参りに行ってきました。
狛犬の位置を確認してみたところ、
本殿から見て左=阿→法則通り
先ほど調べた限りでは
昔は阿吽形だったのに
大塩平八郎の乱で焼けてしまい、
新しく市場から寄進されたものが
現在のダブル阿形だったとか。
なんでも江戸時代の大阪商人の間では、
狛犬を寄進するのがブームだったみたいです。
わくわくしながら
狛犬の法則を確認しに行ったのに
まさかの事態で一瞬パニックになりました。
しかも、おみくじを引いたら凶でした。
「ただ祈るべし」って、えー・・・
2014年の運勢が不安になったところで
話は変わりますが金剛力士像っていますよね。
お寺の本殿へ向かうため門をくぐろうとすると
左右に立っていらっしゃる
筋肉ムッキムキの人たちです。
狛犬と同じように
阿形と吽形2体置かれています。
狛犬の何百倍も強面ですが・・・
実は先ほどの『阿=左、吽=右』の法則、
金剛力士像にもあてはまるのです。
本殿から見ての位置なので、
お参りに行くときに見えるのは
反対の向き(阿=右、吽=左)になります。
金剛力士像とは仏教の守護神で、
全国の社寺に安置されていますが、
「金剛力士像=東大寺南大門」と
思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
しかし、東大寺南大門の金剛力士像は
この法則と逆の位置に置かれています。
図:東大寺南大門の場合
位置だけでなくポーズも
他の社寺のものと比べて少し風変わり。
日本で最も有名なのに、金剛力士像界では
例外中の例外な作品なのです。
東大寺南大門は、962年に天災によって倒壊し
しばらくそのままでした。
しかし、1180年に
東大寺が焼失してしまったことにより、
重源というお坊さんが中心となって
東大寺を再建することになり、
その際に南大門も一緒に再建されました。
なので、現在私たちが見ている南大門は
オリジナルではなく
1203年に作り直されたものです。
ポーズが風変わりと書きましたが
他のものとどう違うのか言いますと、
何と言えばいいのか、うーん。
なんとなくジョジョ立ちっぽいというか
大げさというか・・・(画像はAmazonより)
このジョジョ立ちのような大げさポーズは、
中国(宋)の版画「霊山変相図」の中で
描かれている仁王さんのポーズに
そっくりなんです。
しかも、描かれている位置も
東大寺南大門のものと同じ。
つまり、東大寺南大門の金剛力士像は
置かれている位置もポーズも
「霊山変相図」を参考に作成された
中国風のものということになります。
ではなぜ日本の金剛力士像に
中国様式が使われているのか?
という疑問が出てきます。
それは東大寺再建事業の中心となった
お坊さん・重源の影響が大きいと
言われています。
重源は、再建事業以前に修行のため
宋へ渡航した経験があります。
しかも3回も。
そんじょそこらの若者より
海外経験多いやないですか。
そして帰国後に再建事業をするにあたり、
宋で見た「霊山変相図」を模した
金剛力士像の制作を指示したと考えられます。
重源「僕ね、宋行った時に超かっこいい
金剛力士像の絵見たんすよ~。
せっかく東大寺建て直すことですし、
運慶さん快慶さん!そんな感じで
よろしく頼みますわ~!」
といった感じでしょうか。
(完全にokeihanの妄想です
重源はこんなにチャラくありません)
金剛力士像の代表的作品にもかかわらず
その業界では異端児のような作風の
東大寺南大門・金剛力士像。
東大寺に行く機会があれば、
ぜひ確認してみてください!
注:季節によって拝観時間が異なります。
⇒東大寺・拝観のご案内
拝観料が500円と少々お高いので、
同じ500円を払うなら
このようなトリビアを楽しみながら
見に行きましょう!
大阪天満宮
住所:大阪府大阪市北区天神橋2-1-8
HP:http://www.tenjinsan.com/index.html
東大寺
住所:奈良県奈良市雑司町406-1
HP:http://www.todaiji.or.jp/index.html
ほほぅ、それは知らなんだ。あと東大寺の運慶快慶の目玉は彫刻だけど、他のはガラス玉が入ってることが多いらしい。なんで玉眼にしなかったのか、と考えるのも一興。