そしてキミもまたボリクコーヒーにいるのだろうか。
滋賀県民の小娘が言った。
「ならねこ、奈良、ないですね」
そ、そげなこと、なかぁっ!
僕は泣きながら、ならまちのボリクコーヒーへ走ったんだ。
あの細くて迷路みたいな路地をぬけて、
お地蔵さんに挨拶して、
さらに、なんにもなさそうな小道を突き進んだら、
なぜかロシアのお地蔵さんがいるんだよ。
プリヴィエート! マトリョーシカ。
ただいま、お母さん。
僕、パトラッシュの100倍つかれたよ。
だから、普通の濃さのコーヒーとスコーン二つ頂戴。
そとがサクサクでなかがフワフワだよ。
だけど、お母さん、僕はだまされないんだからね!
僕は見たんだ。
ふぇみふぇみした雰囲気の向こうにある焙煎の機械を。
でも、ここのコーヒーがマジなことは、
ならねこだけのヒミツにしとこっと。
そして、おっさんが僕に申し訳なさそうに言うんだ。
「あの、ちょっと、クギをトントンしますけど、、すいません、、」
大丈夫だよパパ、いっぱいトントンしてよ。
そうしたら、壁にアルファベットの虹がかかったんだ!
でもねえ、お母さん、壁中クギで穴空けて大丈夫なの?
「まあ、もう個展やるたびに穴だらけなんで、大丈夫ですよ」
ふーん。
いつか、僕もここで絵をかざってみたいな。
蝶ネクタイをした、ねこの絵を。
photo: OLYMPUS E-P5 + 45mm f1.8
関連:極私的文化遺産、「ボリクコーヒー」bolik cofffe。
http://naraneco.sakura.ne.jp/wp/?p=584