ゆうすけ、かくにん!

 

「ならねこ」のルールに「記事内容は奈良を中心としたローカル・ニュースを扱わなくてはいけない」という決まりがあるんだけど、まあ今回はちょっと逸脱して、片山ネタに触れておきたいと思います。IT社会の犯罪というには、あまりにもくだらない結末だった。不謹慎だけど、自殺してくれた方が物語的にスッキリしたと思う。

かつて私は、この事件には共犯者がいるとばかり思っていて、共犯による事件を片山単独犯として見ようとするところに違和感を感じていたが、フタを空ければ予想に反して彼の単独犯だった。しかも決めては「尾行」という泥臭い捜査手法だったのもITとは無縁で、いろんな意味でもっさい事件です(家族全員の通信記録などは傍受されていただろうけれどね)。

私見だが、片山は自分よりも優秀なハッカーが架空の「真犯人」として犯行声明を出すことを期待していたのではないか。自分みたいな人間は他にもたくさんいるだろう、と彼は考えた。他人の犯行それ自体を社会的にハックして、誰もが「真犯人」になり得る状況を彼は作った。まさに攻殻機動隊の「笑い男」事件をリアルに仕掛けたわけだ。けれども、彼の予想に反して、そういうハッカーは現れなかった。保釈されてこんなに世間の注目を集めても、「真犯人」は名乗りを上げなかった。

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ある意味、すでに彼の計画はここにおいて破綻していた。その埋め合わせとして、彼は河原にスマホ埋めに行くという・・・すげえダサい手口を試みる。なんなんだろう、この感性。だれも片山のゲームに参加しなかった時点で、彼は自分が本当に孤独な存在であることを痛感した。そして冷静な判断ができなくなった末の「スマホ埋め」・・・というのは勘ぐりすぎだろうか。

どうして日本にいる名うてのハッカー達が片山を無視したのかというと、そもそも片山には他人を巻き込むような大義名分がなかったからだと思う。無実の大学生の人生を狂わせるような犯行を誰が肩代わりするというのか。他方、「笑い男」にはそれがあった。「笑い男」は、一人の少年が製薬会社の不正を告発することに由来し、最終的に誰もが「笑い男」を名乗るという社会現象そのものとなった。この差は大きかったと思う。

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