佳電の街へ@大阪日本橋。
日経が、でんでんタウンで知られる大阪日本橋の「電気街からメイド街」への変貌を伝えている。まあ、ヨドバシカメラやビックカメラですらkakaku.comのショールームと化しているなか、中小小売店が生き延びられるわけがない。より根本的には、日本の家電製品それ自体に勢いや魅力が無くなったことも大きい。
オタロードで、3.11以後もあっけらかんとメイドさん達が呼び込みをしている傍ら、へたりこんだホームレスが背中をボリボリ掻いている。私たちは『ブレードランナー』(物語冒頭の街並は秋葉原がモチーフだといわれている)よりもグロテスクな近未来を生きているんだな、とつくづく思う。
で、ここで締めくくると、一連の日本没落論になっちゃうわけで、そうじゃない方向性も指摘しておこう。日本橋の電気屋が店を閉めていくなか、スイッチやICなどのパーツ屋が元気だ。高級オーディオ屋なんかもマイペースに繁盛している。また、その客を当て込んでか、近くにヘッドホン専門店もオープンしている。
家電が精密化・ブラックボックス化して、道具として小回りがきかなくなっているなか、日曜大工の延長としての電子工学が見なおされつつある。ローテクをうまく組み合わせたアイディア商品(破壊的イノベーション)は、こういう場所から生まれてくると思う。オーディオだって、真空管などのローテクの電子工学がラグジュアリー化したものだと言える。
かつての家電の街で、メイドさんに入れ込んでいるオタクに未来はない。萌とか言っているだけで、要は女を金で買っているだけじゃないか。本当のオタクって、電子部品をいろいろ組み合わせて遊んでる奴らのことだったじゃないか。そしてもっと頭の良いオタクは、これが自己満足で終わらず、自分が製作したプロトタイプと社会の関係性まで考えようとする。日本の繁栄は、そういうオタクが新しい価値を生み出してきたことによる。
家電から佳電の街へ。日本橋はそういう人たちのたまり場であってほしいし、そうあるべきだと思う。
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大阪・堺筋の家電店消える メイド系店舗に勢い
2014/2/11 0:57
「家電の街」と呼ばれた大阪市浪速区の日本橋で、目抜き通りの堺筋沿いから2013年に家電店が消えたと調査会社が店舗調査で発表した。使用人を装うコスプレ風の女性店員がいる「メイド系店舗」の出店が多く、日本橋地区全体では店舗数はほぼ横ばいだった。
調査会社、デシリットル・ファクトリー(大阪市)によると、同区難波中2丁目、日本橋3~5丁目で出店数と退店数は同じ66。同社が調査を始めた05年以降では出店数、退店数とも最多だ。
退店は家電専門店、電気部品店が合計7と目立つ。デシリットル・ファクトリーでは「8月に家電専門店の喜多商店が閉店し、堺筋に面した家電店がなくなった」と話している。
市内に大型の家電量販店の出店が00年代から相次ぎ、日本橋の地場店舗の体力が弱っていた。日本橋には第2次大戦後に電気部品店が集まり、「でんでんタウン」の愛称で親しまれてきた。
出店は「オタロード」と呼ばれる日本橋筋西通商店街を中心にメイド喫茶などメイド系店舗が18店と多い。ただメイド系には悪質な店もあり、警察が摘発する例も出ている。