坂について@奈良餅飯殿/下御門。
人は「何メートル歩いたのか」という水平方向の距離感覚についてはしっかりしているが、「何メートル上ったか」という垂直方向の距離感覚に関してはあいまいである。あいまいだが、かつてタモリも『TOKYO坂道美学入門』で指摘していたように、坂というのは人間の空間感覚に大きな影響を及ぼす。にもかかわらず、二次元の地図ではイマイチこれが伝わってこない。例え等高線が記載されていたとしても、実際そこに立ったときのイメージは地図とは異なるのである。
一例として、奈良県奈良市の餅飯殿/下御門商店街の標高グラフを挙げてみよう。私がガーミンのGPSで計測したものだ。餅飯殿の最下部と下御門の最高部では約7メートルの差がある。二階建ての家が収まる高さだ。傾斜がどれほどのものかは、地元の者に尋ねてみても、正確な答えは返ってこなかった。冒頭の写真も餅飯殿/下御門の境界線の写真なのだが、写真ですら坂の空間感覚を表現することが難しいことに気付かされる。
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ならまちは坂の街である。この下御門では、夏に急傾斜を活かした流しそうめんのイベントがあるそうだ。