アレックス・カー『ニッポン景観論』レビュー。
あらためて、あけましておめでとうございます。morimachiです。
正月は、「ならねこ。」のデザインを全面的に変えてやろうかと思い、過去記事に目を通したりしていたんですが、いやあ、面白いねえ、このブログwww(俺はさんまか)
結局、デザイン変更による表面的な目新しさではなく、初心にかえって、今後はブックレビューなんかもちょいちょい入れていこうかな、と思った次第。
で、2016年の初レビューは、
『ニッポン景観論』アレックス・カー、集英社新書ヴィジュアル版
です。
ある時、アメリカから来た学生がいました。夜、京都に到着した彼が、朝、目を覚まして、頭上に電線が張り巡らされている町を見た時に、何と言ったかというと、「ああ、京都ってインドみたいな所なんですね」。うーん・・・・・・。
この調子でこの本は、ニッポンの街並がダメダメなことを写真と共に指摘していきます。もし、これが活字だけなら、ガイジンの嫌味にしか聞こえないんだけど、視覚的に示してくれるので、読んでいてなるほどなーと思いますよ。
で、このアレックスさんは奈良県の十津川村の広報なんかもやっていて、最近、日本人も知らない秘境が外人に大人気だったりします。
http://www.jnto.go.jp/eng/indepth/cultural/feeljapanesque/totsukawa_nara.html
まあ、著者のアレックスさんは東洋美術屋なんで、この本は美学の話でおわっちゃうんですね。だけど、醜悪な街の景観は、単に美的センスの問題ではないな、と。それは社会システムとか民主主義の綻びの兆候と見なすべきだな、と。
自分の損得にしか関心がない卑しい人間は、街で売っているモノばかりに夢中で、街それ自体の価値に意識が向かない。そーゆー俗物たちが集う杜は何かとリスクに脆いし、彼らの日常もちょっと病んでるんじゃないか、と思う。そこにはコモンズがないんだ。
東京や京都の街並がみっともないのって、そういうことでしょ? ちがう?