耳は口ほどにものを言う。

 

シカは一見無表情に思えますが、耳とシッポで感情を表現する生き物です。犬や猫を飼ったことがある人は、シカ相手でもそういうのが直感的にわかるんじゃないかな。シカの耳の豊かな表情は、ヒトでいうところの眉毛に相当するんじゃないかな。

アイキャッチのように、耳が後ろに寝ている表情は、気を許した相手にしか見せません。浮見堂のシカたちは半年以上の付き合いなのと、直前にニンジンをやったのでリラックスしているんですね。まあでも、このシカは、誰にでもエサをねだりに行くタイプなんですが。

他人の気配がすると、その方向に耳をピンと緊張させます(恐ろしいくらい聴覚はするどい)。シカ写真一般にそういう表情のものが多いですが、しかしそれは人間で言うところの「注視している表情」なので、あまり良い写真ではないですね。さらに、その対象が危険であると認識すると、お尻が♡型になり、群れ全体に情報(感情)がシェアされていきます。
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きゃー、シカさんのお尻がフサフサー♡
めっちゃかわいいー!!
などとはしゃぐ小娘がまれにいますが、
それ、あんたが不審なだけです。

正月は奈良公園でも子供がシカをおっかけまわしたり、犬を放したりするのが散見されましたが、それはシカたちが群れごと道路に突進して、大事故につながる恐れがあります。この街の公園ではタブー中のタブーなんですよ。そもそも大した信仰心もないくせに、春日大社なんか来るなよなー。シカは神のペットやぞ。

おっす!
な、なんですかあ・・・。

首をかしげるような仕草は、片方の耳だけクルっと向くときです。ええと、この人、大丈夫、だっけ? 警戒心の強かった浮見堂のゼロ才児たちとも、やっと向かい合うことができるようになってきました。東大寺のバンビは初対面でも近寄ってくるんだけど、ここ浮見堂ではそうはいかない。
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冬場でもツノが生えたままのシカは、愛護会による秋のツノ狩り包囲網をかいくぐった者です。臆病な性格で山の茂みに隠れがちなので、なかなか捕まらないんですね。ゆえに人間に対する警戒心はシカ一倍強いです。さすがに私は毎日来ているので、手渡しでニンジンを食べますが・・・耳は緊張ぎみでしょ?
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くんくん、くんくん。
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臆病とはいえ、こういうシカを怒らせると、反撃してくるので、大人の人間でも軽傷では済みません。秋の興福寺にて、ツノが切られた発情期の牡鹿にタックルを食らいましたが、想像以上のパワーでした。もしツノが生えていたら致命傷を負っていたな、と。母シカも人間の子供がキライです。人間のチビが、近くではしゃいだりバタバタ走ると、母シカは本能的に攻撃モードになります。シカさんカワイイ!なんて幻想ですよ。あくまでも野生動物なんですから。バカで弱い人間の子供には容赦ないです。

さて、どうでもいいですが、ならまちでは梅が咲いてました。
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なあチビ、おまえ遅生まれで冬毛じゃなかったけど、暖冬でラッキーやったな!
な、なんでさわろうとするんですかあ・・・。
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