『ザ・バンク』の街並み。
DVDの1000円コーナーにある『ザ・バンク』。
だれだよ、こんなクソい邦題つけたのわっ。
げきおこ ٩(๑`^´๑)۶
この作品、あまり知られていませんが、
内容はすごく良いですよ。
1回だけ見ても意味分からんので、
レンタルじゃなくてDVD買って下さい。
原題は”THE INTERNATIONAL”、
国家を超えた国際金融機関とこれを追うインターポールの話です。
実話ベースなんですねえ。こわいですねえ。
物語の舞台は、
ベルリン、ミラノ、ニューヨーク、そしてイスタンブール
と目まぐるしく変わっていきます。
実は、これらの都市のイメージは、
資本主義システム類型の投影なんですな。
- ベルリン(近代資本主義)
- ミラノ(伝統と資本主義)
- ニューヨーク(劣化した資本主義)
- イスタンブール(資本主義の源流)
監督もオーディオコメンタリーで言ってるように、
この映画の主人公は「建築」です。
しかし「街並み」の観点からこの映画を見て改めて思うのは、
西欧では建築と街並みは一体となっているんだなあってこと。
ちょっと見てみよう。
ベルリン。銀行のシーンらしいですが、本当はフォルクスワーゲン社のビルです
カメラワークもまた「建築」的です。
ミラノ。近代ビルもちらほら。大好きな街です。
これがミラノの「商店街」ですぞっ。
ガラスの屋根で明るい。建築用語でアトリウムっていいます。
ニューヨーク。寒くて鬱蒼とした街並みで描かれます。
終わりゆく資本主義の象徴なのでしょうか。
イスタンブール。かつての帝国の中枢。
西欧とって異境であり、また源流でもある神秘的な街。
バザールでのチェイスシーンは
『インセプション』に影響を与えたと思うんだが。。。
2時間で地球一周できます。
観光旅行気分ですね。
といいたいところですが、
緊張感のあるシナリオ展開で、それどころではありませんw
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さて余談。
この映画の最大の醍醐味は役者の演技力です。
これもちょっと紹介。
主人公、インターポールの銭形サリンジャー。
無精ヒゲと眉間のシワに萌えます。よね?
ニューヨーク検事局のエラ。
相方です。シアワセな家庭を持ちつつ仕事をこなすリア充おかんです。
これまでナオミ・ワッツって色物扱いが多かったんですが、
この映画のおかげで知性派女優へ転身できました。
その才能を見出した監督のセンスもすごいなあ。
なぞの老人w
いやあ、サスペンスにはつきものですがな。
主人公とのやりとりのシーンは映画史に残ると思う。
国際犯罪、入り組んだサスペンス、なぞの老人…と聞くと
いかにも男性向けって感じがするのですが、
いやいや女性も楽しめますよ。
エラ目線で楽しめます。
この人、
エリートな仕事こなして、
多忙さに理解あるダーリンがいて、
かわいいボーイがいて、
完璧に近い人生なんです。
が、
そこに足りないモノが、
サリンジャーという無精ヒゲ野郎なわけです。
いや、もし出会う順番が狂っていたら、
この無精ヒゲ野郎と結婚したかも。。。
というオトナの恋心すらあるわけです。(これは監督が言ってた)
これがおバカなハリウッド映画だと、
不倫やら、ゆれる女の心理などという、
ベタな演出になってしまうのですが、この映画ではそんなことしません。
二人は、ただ、手をつなぐだけですw
ハリウッド映画は、すぐチューとかハグハグしますが、
「手をつなぐ」シーンをこんな丁寧に描いた映画を私は知りません。
この描写だけで二人の絆を繊細に表現しているのですよ!奥さん!
ということで、いろいろと見所の多い映画です。
何度も言いますが、複雑すぎて1度見ただけでは意味不明ですけどね。