オデッセイの感想文。
原題”THE MARTIAN”が、小説邦題では『火星の人』になり、映画邦題だと『オデッセイ』になる。なんなんだこのセンスの無さ! 素直に『マーティアン』でええやん。この業界の翻訳者ってアホしかおらんのかしら?
まま、それは良いとして、内容は面白かったです。かなり小説に忠実だったかな。
でもローバーでの移動は電力だけでなく、酸素生成も一苦労だったことやクレーターに落ちてローバーごとひっくり返ったシーンはカットされているけどね。
特に、畑がアクシデントで吹き飛んだ後も、実はバクテリアが生きていたという小説のプロット(あったと思うんだが・・・)は映画でも出てきたほうが良かったかも。そのしぶとい生命力は主人公のそれと重なるからだ。
あと気になった点が三つ。
主人公の生還を見守る地球上の群衆たちの描き方が凡庸だと思う。街中でみんなが見守るのは古典的すぎてクサイ。もっと現代的(2035年)な描写はないのかよ。実際のアポロ13に重ねているのは分かるけれど、私はアポロ13という史実がフィクションだと思っているので、その分余計に胡散臭く思ってしまう。
カット編集がイマイチで会話が冗長に感じる箇所があった。主人公がメッセージを発し、ヘルメスのクルーがまたそのメッセージを復唱してるのは演出的におかしい。
ヘルメスが直接主人公を助けに行くことの意義が不明瞭だ。映画では「仁義きるぜ」的な精神論になってしまっている。だから、このアイデアを出した黒人スタッフもただの奇天烈野郎になってしまっている。ここ、小説の要だったから致命的な失敗じゃない?