春日夢奇譚。
こんな夢をみた。
「いらっしゃい」
「しかまろくんの着ぐるみを一匹ください」
「4000万リラ、今着る?」
「ええと?税込みで?」
「いや、税込みで4000万しかせんべい」
「もってないですよ」
「じゃあ、お参りしなきゃ」
「そうしたら?」
「そうしたら、夢から覚めるといいね」
「夢、なんですか?」
「夢ですとも」
「にせもの、なんですか?」
「にせもののしか、なんですよ。あなたは」
「え?」
「これは、にせもののしか、であるところの私が見ている夢なんですか?」
「さあて。ところで、誰かを待っていたんでしょう?」
「まだ逢えないんです」
「相手もそう思ってますよ」
「そうなんですか?」
「そうですとも」
「あとどれくらい待てば逢えるのですか?」
「『夢十夜』では100年でした」
「あの”100年”は無限の果てを意味していたと思います」
「死、ですか?」
「にせもののしかは、死ねるのでしょうか?」
「にせものの死は、生なのかもしれません」