美人(鹿)論。

 

シカ写真は、まあ、どう撮っても、それなりにかわいいものになる。それでもシカのなかでも、男前なやつや可憐な少女がおります。もちろん、シカの仲間内での評価ではなく、人間目線での審美眼だけれども。

多くのシカ写真は、ヨコ顔がメインになりますね。その理由には二つあって、一つがカメラを見るシカの正面顔は、カメラマンを警戒しているときか、手に持っているしかせんべいにかぶりつこうとしているときで、いずれにしてもあんまりナチュラルな表情ではなくなります。それは、世間一般がもっているシカのイメージと合わないんですね。

二つ目が、そもそもシカの正面の顔は、いまいち可愛くないんですよ。バンビに限定してもそう。鼻の長いシカを正面から見た場合、鼻が強調されて目が離れているので、ネコみたいな擬人化された表情は撮れない。普段、魚の顔を正面から描かないことと同じだと思います。しかしながら、上手く条件が合えば、シカの可愛い正面顔は撮れます。有名なあのポスターがそうですね。
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鼻が小さくて、両目が顔の輪郭に収まっていて、ちょっとタレ目な子鹿がいい。さらに上の写真は冬毛なので顔が丸く見えますね(たぶん冬毛は黒茶色なので、全身の写真はそんなに可愛くは無いかも)。あと、親が「けずくろい」すると毛が逆立ってぷくーとふくれて、目が優しくなります。キャッチアイの写真がそうです(ピンボケです・・・大雨だったんだもの)。ポスターは、舌をペロっと出しているけれど、シカの習性を知っている人からすれば、特段可愛い仕草だとは思わないですね。

親子の「けづくろい」を遠くから望遠レンズで撮るのか、広角レンズで接近して撮るのかでは、撮影方法やロケーションが全く変わってくるかも。親子がカメラマンの眼前で「けづくろい」を始めるのは人間に慣れきった東大寺近辺や春日大社です。でも観光客だらけなので、これを避けてシャッターチャンスを捉えるのは難しそう。他方、浮見堂や飛火野のシカは半野生なので、人間が近づくと逃げます。

私自身の経験をもとに言えば、毎日(雨の日も)多めのエサを持って彼らに接していれば約三週間で、一番年上のシカが「けづくろい」させてくれました。ええと、シカ同士ではなく、私がシカの耳のダニ取りをしていたわけです(笑)。そうなってくると、怯えがちなバンビも近くに寄ってくるので広角レンズで写真が撮れるようになる。いつか私とシカの「けづくろい」写真がアップされるかも。こうご期待。

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