プログラミング言語と発音 5

 

前回は穴●としての括弧を紹介した。穴なんだから、先に両サイドの()を音読してしまうほうがいいのではないか、という話だった。だけど、括弧は穴だけではない。例えばObjective-Cではこんな括弧も登場する。いわゆるメッセージ式である。

[RSSChannelManager sharedManager];

上のコードは、RSSChannelManagerというオブジェクトにsharedManagerというメッセージを送信している。その内容はさておき、両者の関係は英文法のSVに近い。より正確に言えば、使役動詞の後のOCである。プログラマーが「RSSChannelManagerにsharedManagerさせる」という意味だ。これがブラケッツ[]によって一つのカタマリにになっている。このカタマリという感じが大事で、なぜかというと、それは「RSSChannelManagerにsharedManagerさせた」結果としてのデータをも意味しているからだ。したがって、その結果に対してさらなるメッセージを送信させる場合は[ ]の外部にさらなる[ ]で囲われることになる。これを「ネストする」という。箱の中の箱というイメージだ。

[[RSSChannelManager sharedManager]save];

なんとなく分かると思うが、[RSSChannelManager sharedManager]の結果をsaveさせようとしてる。ここでの関心はコードの内容ではなく[ ]それ自体だ。[ ]の役割は「〜に〜させる」という一連の行為を『「〜に〜させる」ということ』というようにカマタマリにしてしまうことである。[]は一つの文を名詞節へと変換するのである。一言で言えば[ ]は「〜ということ」を意味している。そうであるがゆえに、これは超独断なんだけど、先のコードの発音はこんな風に読むのが順当ではないかと思う。

「あーるえすえすまねーじゃー、しぇあどまねーじゃー、ぶらけっつ、せーぶ、ぶらけっつ、せみころん」

穴●としての括弧( )は、括弧の中身よりも先に複数形で読むのに対して、名詞節を導く括弧[ ]は中身を読んだ後で複数形で「ぶらけっつ」(〜ということ)として発音してみた。この方が、コードを読むときにリズムがよい(と思いません?)。

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