MOON ROOM 1。
奈良にも地球にも飽きた私は、今、お月様に興味がある。WWⅡ以降の近現代史は、ロケット開発の歴史から見てみると、いとをかしアルヨ。
ドイツのナチの技術が、戦後ソ連とアメリカに流れてロケット開発競争へとつながった。宇宙ロケットでソ連がアメリカに先行した背景は、両国の核兵器の開発コンセプトの違いによるところが大きい。
ソ連は、核爆弾をそのままミサイルに搭載するために巨大ロケットの開発に集中していた。他方アメリカは、核爆弾そのものを小型化・計量化しようとしていたので、大型ロケットにそれほど重点が置かれなかったのである。当然、宇宙開発には大型ロケットが有利だ。ちなみに、60年代に編成されたアメリカのNASAは、陸・海・空軍のそれぞれのミサイル開発部署を一つの組織にまとめ上げるために生まれた。
以上に関しては、的川泰宣『月をめざした二人の科学者』が面白かった。二人の科学者とは、ウェルナー・フォン・ブラウンとセルゲーイ・コロリョフのことだ。
事実は小説よりも奇なり。さらに奇妙なことに、リアルとバーチャルの境目はきわめて曖昧なものであるという事実がある。
D・スコットとR・ジュレック『月をマーケティングする』では、この「歴史的な一歩」にかなり酷似したイラストを紹介している。
このイラストはノーマン・ロックウェルによるものだが、なんとこれはNASAの依頼で「実際の月面着陸」よりも以前に描かれたものだ。本番の「一歩」は、この絵コンテを参考にしているのは明らかだ。
しかも、巧妙にもこの絵は、月面着陸後に一般公開されている。こういうのを色々調べていくと、アポロ計画とは実像と虚像が入り交じったウルトラ・ノンフィクション・ミッションだったなあ、と思う今日この頃。まあ『月をマーケティングする』という本自体は、陰謀論でも何でもなく、いやー宇超飛行士の全米横断キャンペーンたいへんだったよー的な、正史なんですけどね。
陰謀論に関しては次回。