おかあさんなるもの@夏休みアニメ特集。

 

父性なき『ドラゴンボール』ですら、母性は確かにありました。後期のブルマがそうです。ただしそこで描かれた母性は、通常のそれとは異なります。一般的に、母性というのは「子を守る」などの包容力ばかりが強調されますが、本来母性というのは、もっと野蛮できまぐれな側面を持っていると思います。

育児以前に「強い子が欲しい」というのも母性の一種です。あれだけいちゃついてたヤムチャをふって、ベジータに乗り換えるブルマに愕然としたのは私だけではないはず。ロマンチックは爆睡中です。このブルマの選択は、予定調和的な後期ドラゴンボールの世界において、不気味な特異点として君臨しています。

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唐突でストレートな野蛮さこそ母性であり、生き物の本質なのです。かつて鳥山明は女性を描くのが苦手であることを告白していましたが、実際に彼の作品には女性から共感を得るような女性キャラは登場しませんね。でも、ブルマがベジータに惹かれてしまう件に、共感とまでは言わないまでも理解できる女性は多いのではないでしょうか(鳥山明は、トランクスの伏線でそうしたにすぎないのですが)。

私が最近のアニメを観ない、いや観れないのは、こういう意味での「おかあさんなるもの」が描けていないからです。例えば、『エヴァンゲリオン』の母性の描き方は、最初から観念的で、そしてこれを物語の設定として活用するので、確かにうまく処理しているとは思うけれども、しかしずるいと思うんですよね。イミシンなだけで本当は何も考えてないんだろうな、というのが透けて見えちゃうんです。

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あと、巷にあふれる萌え系アニメやゲームなんかの母性は、もう末期的です。おっぱいが大きい=母性的という図式で描かれている。アホかと。こんなのは単なる男の妄想としての母でしかないわけです。だからロリコンが他方でマザコンなのは当前なんですね。いづれにせよ、それらはご都合主義的な妄想でしかないのだから。

かつて、大阪にお母さん喫茶なるものがオープンし、その後すぐに閉店したのは、おそらくスタッフを高年齢にしたからです。「マザコン=ロリコン」というオタクのキモい女性崇拝の本質が理解できていなかったんですね。

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母性をめぐる問題はジブリにも言えることで、ジブリの一連の作品には「母」がいませんね。例えば、シータは? 論外ですよね。基本的にジブリ作品には、愛でるべき可憐な少女か老婆しかでてこないわけです。

『神隠し』のように、女性ファンを取り込むために、ハクのような男性キャラに力を入れたりしますが、ジブリは女性の共感を呼ぶ女性キャラは出てこなくないですか? 近年のジブリの不調の本質は、そういうところにあると思うんですよね。

『魔女の宅急便』に登場するオソノさんは、確かに庶民的な「おかん」しているど、それはここで言う母性とは全く関係ないです。さっきも言ったように、母性とは理性的な包容力を突き抜けた何かです。そう、別れ際にメーテルが唐突にDAKARAをごくごく飲むように、母性とは場の空気なんか気にしない一種の生理現象なのです。

ちなみにナウシカは綾波っぽいよね。まるで血が通っていない人造人間みたいで(まあ、事実そうなんだけど)、なんかノイローゼっぽいわけです。人間がそういうの目指すと「ナウシカコンプレックス」になります。実際にそういう心理系の本がありますね。本書のコピーには「あなたの疲れの原因は『お母さん』かもしれない…」とあります。

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・・・などと考えていくと、ジブリが描いた唯一のリアルな母性は『もののけ姫』のサンではないだろうか、という結論にいたるわけです。

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すると、おまえが言いたいのは要するにツンデレのことなんだろ、と言われそうですが、それは違います。「ツンデレ」という言葉が生まれたのは、確か『ハルヒ』だったと思いますが、ああいう感じのキャラは80年代の『きまぐれオレンジロード』の鮎川まどかにルーツがあって、ハルヒのツンデレは、それの劣化したカリカルチュアでしかないわけです。

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今時のツンデレというのは、「デレ」というオチのために「ツン」がある。すなわち、ツン→デレなわけです。悪そうな人が実はいい人、みたいな。だけども、人はそんなに単純ではない。ツンとデレが常に共存している感じが鮎川まどかにはあったし、サンにもそういうところがある。こういうとらえどころのなさに本当の母性があると思うんです。

例えば、故郷の許嫁がくれた小刀でサンがアシタカを突き刺すシーンとか好きです。ヒロインが主人公を発作的に刺すアニメって他に無いですよねw(そこには小刀の込められた許嫁のブチギレた暴力性がサンに少なからず作用していると思いますが)。

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そして最後はやっぱりガンダムネタなのですが、ガンダムが描くことに成功した母性はエマ・シーンただ一人だけです。異論は認めない。私が『Z』以降のガンダムを観ないのはエマが出てこないからです。zのアーガマ内の人間模様は疑似家族っぽいところがありましたよね。主人公に対するエマは、確かにお母さんでした。彼女の死に際のシーンもね。

好きなモビルスーツはエマ中尉のmk2です。クワトロ・バジーナともできてた、よね? エマの代わりにシャアが死ねばよかったのに。あ、ちなみに左にいるやつは♂ですよ。以上。

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