スマートウォッチやグーグルグラスの「向こう側」にあるもの。
最近、巷では「スマートウォッチ」なるものが取りざたされていますが、私の感想としては、カシオのデータバンク臭がしてなりません。結局、「こんなことができるんだぞ」的なガジェットでは、社会現象を伴うヒット商品にはならないですね。「できる」と「使える」では意味が違います。いわゆる「キャズム」は越えられないでしょう。
逆に言えば、どうしてスマートウォッチの先行者であったカシオが、これのインターフェイスやユーザビリティの研究を怠ったのか理解に苦しみます。そして、これは今の日本企業全般に言えるのではないでしょうか。
私事ですが、キータッチの良い電子辞書を探しているのですが、どれもキータッチがサイテーです。そして、どうでも良いような機能ばかりが追加されていく。このままでは電子辞書市場ごと消滅するのではないかと危惧しています。かつての日本の携帯電話と一緒です。日本企業が物理的な質を追求することはもはや無理なのでしょうか。
グーグルグラスも、そろそろ日本で発売されますね。仮にあれが普及したとして、次にどんな問題がでてくるのかを挙げたいと思います。まず第一にどうやって操作する。声? 街中の人間が独り言をつぶやきながら歩く風景は、ちょっと怖いです。そもそも、声だけでのコントロールには限界があるでしょう。
第二に、メガネをかけている人なら分かるはずですが、レンズのちょっとしたチリでもすごく目障りでイライラするのに、あんな大画面が常時右目を占有したら・・・しんどいでしょうねえ。
なんだ文句ばっかじゃねえか、と言われそうですが、いやいや将来性がないなんて思っていませんよ。私は、ウェアラブル・ガジェットたちの本質は、これらを連携させるBluetoothだと考えています。そういう観点から見直せば、もっとシンプルで実用的な商品になると考えています。それはハイテクである必要すら、ありません。
例えば、先のスマートウォッチですが、極端な話、ディスプレイは要らないですね。MacBook AirとかiPhoneとかグーグルグラスとか、プチ・ハンズフリーで使いたい局面に応えるデバイスであって欲しい。
ThinkPadの赤いポチ、ジョグダイヤルなどが実装された、入力デバイスとして優秀なリストバンドが欲しいです。5万円でも買いますよ。そもそもハイテクでもないから中小企業がやってもいいレベルです。
あと、メガネもレンズの外側が重要な表示領域になりそう。端っこなので邪魔にならない。表示デバイスも液晶である必要はない。LEDで十分。通知するのは「着信」「タイマー」「目的地到着」などをランプ点滅で知らせてくれるだけで十分です。さらなる詳細はiPhoneを見ればよいのだから。LEDならバッテリーも長持ちだし、誰のメガネにもちょこっと追加できる。そして、なによりも安い。
こういうアイデアは、かつてなら「枯れた技術の水平思考」と呼ばれたものです。ビジネス・スクールなどでは「破壊的イノベーション」と定義しています。だけれど、大切なのは呼び名ではなく、こういう思考を育む環境を厭うことです。ただでさえ現在の少費(消費ではない)社会では、これがとても難しいことになっているのですから。