入江泰吉の親子鹿@近鉄京都駅。
奈良の写真家と言えば、入江泰吉ですね。私はこの人のパースを「隠者の慧眼」と呼んでいます。世捨て人のノスタルジーでは終わらない、光を射貫く狩人の眼を持っている人です。彼の写真には、見る者に静中の動をかき立てるものがある。
それは戦前、彼が映画監督を目指していたことと関係があるのではないか。戦後、彼はたった一コマのフィルムに「動」を封じ込める芸術を目指したのだ。
・・・と持ち上げておいて、シカ写真家である私からすると、入江泰吉のシカ写真はイマイチだなあとも思う。表情が良くない。そこは神の使いである。人間の芸術ごっこにたやすく従うわけがない。
新しくなった近鉄京都駅の改札を出ると、入江泰吉の「親子鹿」が出迎えてくれる。でも夫婦ではないんだな。おかんと息子とベイビーですw 親子だけあって、けげんそうな顔がそっくりですね。んん、分からない?
コレ、1975年の作品だから、40年も前のシカたちなんですねー。奈良の変わらないもの、京都には代えられないもの。そんな感慨にふけりながら、シカ写真家兼ナポリタニストである私はポルタのイノダコーヒーで、トマトソーススパゲティーを食すのでした。本場のナポリタンはタマネギが入っていないので、当然ここでも「オニオン抜き」です。基本ですね(真顔)。